分析事例

ゲルNMR法

これまではゲル状物質を分析する方法としてはIR、熱分解GC/MS、固体NMR法などしかありませんでした。IRでは樹脂の詳細な構造解析はできず、また熱分解GC/MSでは解重合率の高い試料などでないと十分な解析が難しく、固体NMRからは主に分解能の低い13Cのデータしか得られませんでした。これらの手法に対してここで紹介するゲルNMR法を用いれば、詳細な構造解析が可能となります。
ゲルNMR法とは、ゲル状の物質や不均一な物質の高分解能なNMRスペクトルを得るための新たな手法です。ゲルNMR測定は溶液NMR法に近い分解能のスペクトルを与えるとともに、1H、13Cの1次元測定、1H-1H、1H-13Cの2次元測定も可能にします。

図1 未架橋PU及び架橋PUのゲル<sup>1</sup>H NMRスペクトル

図1 未架橋PU及び架橋PUのゲル1H NMRスペクトル

図1に市販の未架橋PU及び架橋PUの1H NMRスペクトルを示します。ゲル測定用のプローブを使用することで、溶液NMR法で測定した未架橋PUの1H NMRスペクトルに近い分解能のスペクトルが得られました。